令和7年8月号 山口清さん(「松井クラシックのつどい」代表)
更新日:2025年7月27日
プロフィール
「松井クラシックのつどい」代表 山口清さん(左から2番目)
山口清さん
(市内在住)
「松井クラシックのつどい」の仲間は家族のような存在。毎月第2土曜日の演奏会と、その翌週の打ち合わせで、月2回顔を合わせる。好きな音楽を語り合ったり、最近注目している音楽家を教え合ったり、会えば話が弾む。
心が一つになる音楽会を届けたい
カランカラン…開演10分前を知らせるのは、係が鳴らすハンドベルの音。「携帯電話の電源をお切りください」と手書きの看板が掲げられるなか、普段着の人々が挨拶を交わし、会場は和やかな雰囲気である。しかし、ひとたび演奏が始まれば、音楽を共有して聴衆と演奏者の心の距離が近づいていく。終演に向かうにつれ「もっと聴いてほしい」と「もっと聴きたい」の二つの気持ちがよりあって、聴衆と演奏者の心が一つになっていく。そんな音楽会を開催しているのは、「松井クラシックのつどい」だ。山口清さんはその代表を務めている。
1989年に松井公民館主催の音楽講座を発端として、1990年3月に「松井クラシックのつどい」が発足した。1990年4月に第1回演奏会が開催されて以降、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止した時期もあったが、毎月1回演奏会を開催し、今年で35周年を迎えたボランティア団体である。
1992年1月の第20回演奏会を聴きにきた山口さんは、スタッフ募集を知り、運営に携わるようになった。「なにか特別な思いがあったわけではなくて、ただ、音楽が好きだったからやってみようと思っただけ」という。長きにわたる活動の秘訣を問うと、「皆が対等な立場で運営することや、公民館との信頼関係が大事。僕は代表兼ドア係です」とにこやかに語る。音楽を愛する仲間14人と一緒に企画から運営、広報まで自分たちで行っている。「友の会」会費と演奏会チケットの販売収入のみでやりくりしており、財政的には厳しい。演奏者への謝礼も決して高額とは言い難いが、地域の人に低廉で良質な音楽を届けたいという信念がある。
一方で、演奏者には全力で寄りそうと決めている。照明も音響もプロの技術には及ばないが、最高の演奏を願う真摯なサポートが演奏者の心を打つ。演奏者には「今一番演奏したい曲をお願いします」と伝えているため、ときには知名度の低い楽曲が選ばれる場合もあるが、良い音楽は必ず聴衆に伝わるという確信がある。「いろいろなジャンルの音楽が好きで自宅でも聴くけれど、クラシックは音楽会で聴くほうが楽しい。やはり目の前で演奏を聴くと心が揺さぶられます」という。
保育付き演奏会、日本大学芸術学部とのミュージカル上演、県立芸術総合高校の授業の一環として位置付けられるなどさまざまな企画を形にしてきた。小・中学生は無料としてきたが、今年度は高校生まで拡大。若い世代にもクラシックに興味を持ってもらいたいという思いを強くしている。これまでの伝統に縛られない若い世代と一緒に音楽会を作るのが今後の目標。「長年やってきて、円熟した面もあるが、それに満足せず、これからも地域に音楽を届けていきたい」と語る。山口さんたちの活動はまだまだ続いていく。
(取材:上地)
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