令和3年6月号 高井弓さん(造形(和菓子・ガラス)作家)

更新日:2021年12月3日

プロフィール

高井弓たかいゆみさん

(市内在住)

「手のひらの自然―京菓子展」
有斐斎弘道館ゆうひさいこうどうかん主催)で
初出展の「湧春ゆうしゅん」が2019年実作部門大賞、
翌年「迷図めいず」が2020年優秀賞を受賞。
アニメーターの父、日本画家の母を持つ
美術一家の末っ子で、2児の母。
作ることも食べることも大好き。
地域の活動では所沢の伝統芸能であるお囃子はやし
寿々木すずき流)に参加している。
弓玉庵ゆみたまあん」の屋号にて和菓子を事前予約制で受注販売中。(問い合わせ先:tama-bow@momo.so-net.jp

小さな和菓子に込めた たくさんの想い

澄んだ心地よい風を感じる。そこは八国山を見通せる静かなアトリエ。高井弓たかいゆみさんは穏やかにほほ笑み出迎えてくれた。
高井さんは和菓子だけでなく、ガラス彫刻・アクセサリーなど、素材にこだわらず新しいものを作り出す「造形作家」。
そんな高井さんの和菓子が、由緒ある京菓子の公募展で2年連続の受賞を果たした。
  
家族の影響で美術の道に進み、多摩美術大学で宙吹きガラスを学んだ高井さん。和菓子を作り始めたのは30代になってから。
当時、母が開いていた茶道教室で和菓子の用意を担当していたが、季節のお菓子を探していると、思うようなものが見つからない時も。
そこで「自分で作れないかなと思ったのがきっかけです」。道具を集め、独学で製作を始めると、教室の生徒たちに大好評。
出産後も、喜んでくれる顔に元気をもらい、合間を縫っては製作を続けた。
気付けば15年、どんどん和菓子の世界にのめり込んでいった。
  
子育てが一段落した頃「何かに挑戦してみよう」と京菓子展への応募を決めた。
初出展で大賞を経験し、しかも2年連続の入賞。
しかし、そんな華々しい受賞の背景には、美しい和菓子からは想像できない苦労が隠されていた。
  
毎年、テーマが与えられるこの作品展。特に2020年のテーマ「禅」には頭を悩ませた。
関連する本を読みあさったが、禅とは何か、考えれば考えるほど分からない。
まるで自分が迷路にいるよう…。
その時、「迷いながらも前に進もうとしている今の自分こそ、禅の思想に近いのではないか」と気付き、デザインが降りてきた。
悩めば悩むほど悟りに近づくとも言われる禅の思想。
表面に迷路の型を押し、竹炭と黒ゴマで迷いの黒色を表現した「迷図」は見事、優秀賞となった。
  
「和菓子は究極なデザインの世界だと思います。小さなお菓子ですが、そこには余計なものを削ぎ落としたシンプルな美しさがあります」。
高井さんは和菓子の名前、「菓銘かめい」を大切にしている。
暦や季節をもとに菓銘を考え、その短い言葉から広がる風景、それに伴う色や音、香りなどをお菓子に込めていく。
「このお菓子に出会った人が、込めた想いを感じてくれたらうれしいです」。

狭山茶が特産の所沢。
「お茶どころに住む市民の方々が、お茶をよりおいしく楽しく飲めるよう願って、心を込めてお菓子を作ります。」
小さな和菓子に込められた想いを考えながら、ゆったりと楽しむお茶の時間は、私たちの世界をも広げてくれるかもしれない。
(取材:齋藤)

web版こぼれ話

初夏の和菓子

高井さんがこの日に用意してくれた和菓子は、夏の始まりにぴったりのこの4つ。
にわたずみ、水ヨーヨー、翠雨すいう、あさのつゆ。
つやっぽく涼しげに表面がコーティングされていたり、透明な「つゆ」が、あしらわれていたり、
しばらく眺めていても楽しい、素敵な和菓子の数々を高井さんのSNSでも、ぜひご覧ください♪

…にわたずみ・水ヨーヨー・翠雨(すいう)・あさのつゆ

にわたずみ・水ヨーヨー・翠雨(すいう)・あさのつゆ

リンク

公募展・有斐斎弘道館「手のひらの自然2020」

http://kodo-kan.com/kyogashi(外部サイト)

高井弓ホームページ

https://www.yumi-takai.com(外部サイト)

和菓子SNS「yumitamaan168」

https://instagram.com/yumitamaan168(外部サイト)

ガラスSNS「tamabow168」

https://instagram.com/tamabow168(外部サイト)

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所沢市 経営企画部 広報課
住所:〒359-8501 所沢市並木一丁目1番地の1 高層棟3階
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