伝染性紅斑の流行警報が発令されました

埼玉県感染症発生動向調査による県内医療機関（定点）からの伝染性紅斑の報告数が、本年第 48 週（令和 6 年 11 月 25 日から 12 月 1 日）に、1 定点当たり 3.49 人となり、国の定める警報の基準値である 2 人を超えました。警報を発令するのは平成 27 年 5 月以来 9 年 7 か月ぶりです。また、1 定点当たり 3.49 人は、統計のある
1999 年以降最大です。

伝染性紅斑は、両頬に現れる境界鮮明な紅い発疹を特徴とするヒトパルボウイルス B19 を原因とする感染症です。りんごのように頬が赤くなることから、「りんご（ほっぺ）病」ともよばれます。

主な感染経路は、患者の咳やくしゃみなどのしぶき（飛沫）に含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛沫感染」と、ウイルスが付いた手で口や鼻などの粘膜に触れることによる「接触感染」です。

両頬の発疹に続いて、手や足に網目状の発疹が現れますが、これらの発疹は 1 週間前後で消失することがほとんどです。大人では、両頬の赤い発疹は少なく、関節痛や頭痛などが出現します。節炎症状により 1から2 日は歩行が困難になることがありますが、ほとんどは自然に回復します。

潜伏期間は 10から20 日です。

感染力があるのは感染後1週間から10日程で、頬に赤い発疹が出る段階ではほとんど感染力はありません。
そのため、特徴的な発疹が現れる前に感染が広がりやすいので、感染予防に努めましょう。

咳やくしゃみなどの症状がある場合には、マスクを着用（外部サイト）するなど咳エチケット（外部サイト）を心がけましょう。

外出後、食事の前、トイレの後などには、手洗い（外部サイト）を徹底しましょう。
なお、アルコールによる消毒効果は弱いとされています。

妊婦さんが感染すると、まれに胎児の異常や流産の可能性があると言われています。そのため、伝染性紅斑の患者や風邪の症状がみられる方との接触をできる限り避けるよう注意してください。

小児に多く感染する伝染性紅斑ですが、有効なワクチンや治療薬は開発されていません。
伝染性紅斑の症状は、 時間経過と共に改善していくケースがほとんどです。
そのため、医療機関でも経過観察していくことが多いのですが、状態によっては対症療法も実施されます。