勝光寺本堂

更新日:2019年3月6日

 勝光寺本堂は、京都龍安寺の塔頭の方丈を延宝5年(1677年)に移築、行田の宮大工が建築したとの伝承をもちます。
 現在、本堂は入母屋造の桟瓦葺ですが、この形式は昭和34年(1959年)に改められたもので、それ以前は寄棟造の茅葺でした。平面構成は、ともに両側に脇間を備えた内陣、外陣からなる六間取り形式をとっており、外陣の南側には広縁が設けられています。また、意匠的特徴としては、内陣の全面に仏壇を設け、丸柱や組物を用いない簡素なつくりであり、外陣とその両脇の三室全体を一つの天井で覆い、天井が浮遊するように見える蟻壁を設けています。
 このような建築形式や意匠は、江戸時代初期における京都の臨済宗系寺院の方丈建築の特色をよくあらわし、京都からの移築の可能性をうかがわせます。しかし、建物調査によると、柱間は京間の寸法基準とは異なり、江戸時代の関東間の寸法基準をとっています。また、製作時期が異なると思われるヒノキ柱とケヤキ柱が混在し、ヒノキ柱の多くに新しい材で継ぎ足した根継ぎが見られました。
 以上の調査結果から推測すると、この建物は、京都で解体され運びこまれた前身建物の部材を用い、行田の宮大工が関東間として建築したものと考えられます。関東地方では、稀な建築形式を受け継ぐ建造物として大変貴重です。 
【指定年月日】平成21年4月1日
注釈:こちらの文化財所在地については、都合により記載しておりません。
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