虫たちのお祭り?ゲンノショウコ【ふれあいの里だより(令和元年10月号)】

更新日:2019年10月3日

今年の夏から初秋は、長い梅雨に加え秋雨前線が早くから活発になるなど、雨の印象が強く残りました。台風の被害もたくさん出ました。ヒガンバナの開花が遅いとかモズの初鳴きが遅いなど生物季節観測もニュースになっていました。
それでも10月は秋真っ盛り。スポーツ、芸術、グルメなど楽しみが多い季節です。各地で秋祭りも催されます。
祭りといえばお神輿。北海道から九州の山野でも小さなお神輿が普通に見られるようになってきます。これは別名『神輿草』と呼ばれるゲンノショウコが種を1個ずつ巻き上げ弾き飛ばした後の実で、形がお神輿の屋根に似ています。
ゲンノショウコの花期は7月から10月で、本州中部以北では白い花が多く、本州西部、四国、九州では赤い花が主流です。咲き始めはおしべだけが成熟して花粉を出し雄花ですが、しばらくするとめしべも成熟して雌雄両性になります。花粉を出し終わるとおしべはしぼみ、めしべだけになり雌花となります。
漢字で表記すると『現の証拠』。下痢止めや胃腸薬として利用され,飲めばすぐに効果が表れることから現に効くことの証拠という意味で名前が付いたと言われ『イシャイラズ』の別名もあります。民間薬として広く使われるようになったのは江戸時代からで、副作用が少なく今も民間薬の代表です。
花、茎、葉が利用され、主成分はポリフェノールの一種であるタンニンで、最近ではゲンノショウコに含まれているフラボノイドの一種ケルセチンが花粉症やアレルギー症状改善、便秘解消に効果的なことも分かっています。
さらに古く平安時代には牛の病気を治す薬草として用いられていたことが日本最古の百科事典といわれる和名抄(わみょうしょう)に記されています。
あまりにも身近な存在でありながら意外と見過ごされているようなゲンノショウコ。10月はまだ花も見られ、若い実も見られます。そして茶褐色に熟し種を弾き飛ばした姿もとすべて見るチャンスがあります。
若葉には紫黒色の斑点がありますがトリカブトやキンポウゲ科の有毒植物と似ているので花が咲いているときがゲンノショウコをしっかりと確認できるチャンスです。直径1センチメートルから1.5センチメートルの可愛い花を見付けたら花の顔を見つめてみてください。白か鮮やかな紅紫色を背景に淡い紫、淡いピンクが美しく目に飛び込んでくることでしょう。そして秋の日に輝くお神輿もぜひ探してみてください。
アオハダはすでに赤い実を落としているものが多い中、ガマズミやオトコヨウゾメは赤い実をつけ、ニシキギは紅葉とともに赤い実が見られます。花期が早くなってきているようなコウヤボウキは本来晩秋の花、ホシホウジャクが吸蜜に訪れていたりアカタテハなどのチョウが吸蜜に訪れていたりと花が少なくなってきているだけに大人気です。チョウたちの姿が多くみられるのは10月までです。
野鳥たちは冬越しの場所へと移動中のものも多く、いろんな野鳥に出会えるチャンスです。
虫の音を聞きながら夜空を眺めるのにも絶好です。10月11日は十三夜。「十三夜に曇りなし」とも言われます。つかの間の昼夜を問わず何をするにも良い季節がやってきました。

お問い合わせ

埼玉県狭山丘陵いきものふれあいの里センター

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電話:04‐2939‐9412

休館日

月曜、祝日の翌日(その日が休日の場合を除く)、12月29日から1月3日

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