第6次所沢市障害者支援計画(第7期障害者計画、第7期障害福祉計画、第3期障害児福祉計画)令和6年3月 所沢市 1ページ 第1章 計画の基本的事項 2ページ 第1節 計画の基本的な考え方 1.計画策定の背景と趣旨 (1)背景  我が国においては、昭和56年の国際障害者年※1を契機として、国際的な動向や我が国独自の事情を踏まえて、障害者の自立と社会参加の実現に向けた施策を計画的に推進してきました。  近年では、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(以下「障害者虐待防止法」という。)や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」という。)を制定し、障害者の権利擁護を推進しています。  障害福祉に関する制度としては、平成15年度に導入された支援費制度によって、障害福祉サービスの提供が利用者と事業者間の契約に基づいて行われることになり、利用者の自己決定に基づきサービスの利用ができるようになりましたが、同時に新たな課題も生じました。そのため、平成18年度に障害者自立支援法が施行され、障害種別(身体、知的、精神等)によらず一体的な制度の下での対応に変更されました。さらに、平成25年度には障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)が施行され、対象者に難病患者も加えられました。 (2)趣旨  本市においては、障害者基本法に基づく「市町村障害者計画」と障害者総合支援法に基づく「市町村障害福祉計画」、児童福祉法に基づく「市町村障害児福祉計画」を一体化した「所沢市障害者支援計画」を障害者施策の基本指針として、平成20年度の第1次所沢市障害者支援計画の策定から、市の取組や諸計画の理念を踏まえ、施策を推進してきました。  本計画は、第5次所沢市障害者支援計画(令和3年度〜令和5年度)の基本理念を継承しつつも、所沢市を取り巻く状況を踏まえ、共生社会※2の実現を目指し、本市における障害者施策を総合的に推進するために策定するものです。 ※1国際障害者年…国連が障害者権利宣言の趣旨(尊厳、平等、社会参加)に基づき、1981年(昭和56年)を「国際障害者年」と宣言したもの。「完全参加と平等」の促進を目的としている。 ※2共生社会…全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会。障害者基本法では、国民の責務として、国民は、共生社会の実現に寄与するよう努めなければならない旨を定めている。 3ページ 近年の主な障害者・障害児にかかる制度改革の動向は以下のとおりです。  年 主要な障害者制度改革の動向 令和元年 〇障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」という。)改正 令和2年 〇社会福祉法等の一部改正(重層的支援体制整備事業※1の創設など) 〇高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)の一部改正 令和3年 ○障害者差別解消法の一部改正(事業者による合理的配慮の義務化など) ○医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(以下「医療的ケア児支援法」という。)の施行 令和4年 ○障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(以下「障害者情報アクセシビリティー・コミュニケーション施策推進法」という。)の施行 ○障害者総合支援法、児童福祉法、障害者雇用促進法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)、難病の患者に対する医療等に関する法律(以下「難病法」という。)等の一部改正 令和5年 ○子ども家庭庁設置法、子ども基本法の施行  国においては、障害者施策の最も基本的な計画であり、令和5年度から令和9年度までの5年間を計画期間とする第5次障害者基本計画に基づき、次の11の分野ごとに取組を進めています。 第5次障害者基本計画 1 差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止 社会のあらゆる場面における障害者差別の解消 2 安全・安心な生活環境の整備 移動しやすい環境の整備、まちづくりの総合的な推進 3 情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実 障害者に配慮した情報通信・放送・出版の普及、意思疎通支援の人材育成やサービスの利用促進 4 防災、防犯等の推進 災害発生時における障害特性に配慮した支援 5 行政等における配慮の充実 司法手続や選挙における合理的配慮の提供等 6 保健・医療の推進 精神障害者の早期退院と地域移行、社会的入院の解消 7 自立した生活の支援・意思決定支援の推進 意思決定支援の推進、相談支援体制の構築、地域移行支援・在宅サービス等の充実 8 教育の振興 インクルーシブ教育システムの推進・教育環境の整備 9 雇用・就業、経済的自立の支援 総合的な就労支援 10 文化芸術活動・スポーツ等の振興 障害者の芸術文化活動への参加、スポーツに親しめる環境の整備 11 国際社会での協力・連携の推進 文化芸術・スポーツを含む障害者の国際交流の推進 ※1重層的支援体制整備事業…市町村において、子ども・障害・高齢・生活困窮といった分野別の支援体制では対応しきれないような地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するもの。 4ページ 2.計画の性格と位置づけ  所沢市障害者支援計画は、所沢市障害者計画と所沢市障害福祉計画、所沢市障害児福祉計画を一体化したものです。 所沢市障害者計画は、障害者基本法第11条第3項に基づく「市町村障害者計画」であり、障害者の保健・医療・福祉・教育・就労・まちづくり等に関する計画として位置付けられています。  所沢市障害福祉計画と所沢市障害児福祉計画は、それぞれ障害者総合支援法第88条第1項に定められている「市町村障害福祉計画」と児童福祉法第33条の20第1項に定められている「市町村障害児福祉計画」であり、障害福祉サービス等の提供体制の整備に関する実施計画として位置付けられています。  所沢市障害者支援計画は、所沢市総合計画を上位計画に位置付け、国や埼玉県の計画、所沢市地域福祉計画等と整合性を保ちながら、所沢市の障害者施策の基本方針と施策展開の方向性を明らかにするものです。 図  所沢市  総合計画  地域福祉計画  (高齢者、障害者、児童等の福祉の各分野における共通的な事項を横断的に取り組む)  障害者支援計画 障害者計画 障害福祉計画 障害児福祉計画  子ども・子育て支援事業計画  高齢者福祉計画・介護保険事業計画  保健医療計画  その他関連計画  障害者基本計画(国)、障害福祉計画(国)、埼玉県障害者支援計画 5ページ 3.計画の期間  この計画の期間は令和6年度から令和8年度までの3年間とし、計画最終年度に次期に向けた見直しを行います。  所沢市障害者支援計画  第5次計画は令和3年度から令和5年度まで 令和5年度に計画の見直し  第6次計画は令和6年度から令和8年度まで 令和8年度に計画の見直し  第7次計画は令和9年度から令和11年度まで 令和11年度に計画の見直し 4.計画の対象  この計画は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害、高次脳機能障害を含む。以下同じ。)、難病等があり、日常生活や社会生活において支援を必要とするすべての人を対象とします。 身体障害 視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、心臓機能障害等、身体上の障害がある状態。 知的障害(精神発達遅滞) 知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの。 精神障害 統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質、その他の精神疾患を有するもの。 発達障害 自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥性多動性障害(ADHD)、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの。 高次脳機能障害 事故や病気等で脳に損傷を受けた後、記憶障害、注意障害、社会的行動障害などが現れ、日常生活や社会生活に支障が出てしまう障害。 難病 発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの。 6ページ 「誰一人取り残さない社会」の実現 ◆SDGs(持続可能な開発目標)  SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年(平成27年)9月の国連サミットにおいて採択された2030年(令和12年)を年限とする基本目標です。  「第6次所沢市総合計画(令和元年度〜令和10年度)」は、SDGsの観点を踏まえて策定しており、17のゴールは本市の事業すべてに関わるとの考えに基づき、関連性を整理しています。  また、SDGsにおける「誰一人取り残さない」という基本理念は、障害福祉分野の根底を貫く考え方であり、本計画のめざす地域共生社会と方向性を同じくするものです。障害のある・なしだけでなく、性別や年齢、国籍などの個々の違いを尊重し、個性を生かす考え方が重要となっています。  本計画においては、SDGsの考え方を基本理念や基本目標に取り入れ、障害のある・なしに関わらず、誰もが安心してくらし続けられるまちづくりに取り組んでいきます。 図  【SDGsのゴール】  1 貧困をなくそう  2 飢餓をゼロに  3 すべての人に健康と福祉を  4 質の高い教育をみんなに  5 ジェンダー平等を実現しよう  6 安全な水とトイレを世界中に  7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに  8 働きがいも経済成長も  9 産業と技術革新の基盤をつくろう  10 人や国の不平等をなくそう  11 住み続けられるまちづくりを  12 つくる責任 つかう責任  13 気候変動に具体的な対策を  14 海の豊かさを守ろう  15 陸の豊かさも守ろう  16 平和と公正をすべての人に  17 パートナーシップで目標を達成しよう 障害者計画・障害福祉計画・障害児福祉計画と特に関連のあるゴールを大きく表示しています。 7ページ ◆発達障害の方にもやさしい社会 図  知的な遅れを伴うこともある  言葉の発達の遅れ  注意欠如・多動症(AD/HD) 不注意、多動・多弁、衝動的に行動する  自閉スペクトラム症(ASD) コミュニケーションの障害 対人関係・社会性の障害 パターン化した行動、こだわり  限局性学習症(SLD) 読む、書く、計算する等の能力が、全体的な知的発達に比べて極端に苦手 社会の理解が大切。発達障害の特性があっても困らないように。  発達障害にはさまざまなタイプがあり、その境界はあいまいで、特性を併せ持つことが多いものです。  発達障害者支援法では、このような特性と、社会的障壁※1により日常生活又は社会生活に制限を受ける方を「発達障害者」と定義しております。  発達障害者に特化した手帳制度はありませんが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の対象となる場合があります。  例えば、暗黙の了解が分からない人を「空気が読めない」と排斥するのではなく、目に見えるようなルール整備を進めていくなど、発達障害の特性のある人にとっても社会的障壁を減らしていけるよう、さまざまな特性を理解し認めあう社会づくりが大切です 。 ※1社会的障壁…障害者基本法第2条の2によれば、日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念、その他一切のもの。 8ページ 第2節 計画の基本理念 1.基本理念  第5次所沢市障害者支援計画では、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様なあり方を相互に認め合える全員参加型の社会である「共生社会」の実現を目指し、「ふれあい 寄り添い 支え合い 共に生きるまち ところざわ」を基本理念に掲げました。  本市では、平成30年7月に「所沢市障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例」を施行するなど、障害者施策の推進を図ってきました。  本計画においても、障害者施策を継続して推進していくために、第5次所沢市障害者支援計画の基本理念  「ふれあい 寄り添い 支え合い 共に生きるまち ところざわ」  を継承しつつ、昨今の法・制度改正や社会情勢の変化を踏まえ、新たな共生社会の実現を目指します。   2.基本的な考え方  基本理念を実現するために、次の3つの観点から計画を推進します。 基本理念 ふれあい 寄り添い 支え合い 共に生きるまち ところざわ 地域共生社会の実現に向けた環境整備 障害の有無にかかわらず、地域の中で共に助け合えるよう、市民同士の協働が自然に生まれるまちづくりを推進します。 障害者の自立と社会参加の促進 障害者が自らの意思に基づき、社会に参加し、自己実現を図ることができるよう、各分野における取組を通じて、障害者の自立と社会参加を促進します。 障害特性に応じたきめ細かな支援 障害者が希望する地域生活を実現するため、他分野多機関と連携した相談支援を提供し、障害特性に応じたきめ細かな支援を推進します。 9ページ 3.計画の振り返り (1)第5次所沢市障害者支援計画の実施期間における所沢市の主な取組  第5次計画の実施期間中の主な取組として、障害者の重度化・高齢化や親亡き後を見据えた居住支援のための機能(「相談」「緊急時の受入れ・対応」「体験の機会・場」「専門的人材の確保・養成」「地域の体制づくり」)をもつ、地域生活支援拠点※1の整備を進めています。  このうち、「緊急時の受入れ・対応」については、市内障害者支援施設との間で緊急時の受入・対応に関する委託契約を新たに1事業所と締結、計4か所となりました。  「体験の機会・場」については、障害福祉サービス等に係る事業所等の関係者間において、体験の機会・場の整備に関する協議を進めています。  「専門的人材の確保・養成」については、所沢市自立支援協議会※2において、事業所向け研修会を実施するとともに、関係者間での協議を進めています。  「地域の体制づくり」については、保健、医療、福祉その他の関係機関が、医療的ケア児の支援に関する情報共有や意見交換を行う「医療的ケア児支援の情報交換会」を実施しています。また、所沢市自立支援協議会において、「精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築」の協議体として他分野との連携強化に関する協議を実施しました。  このほか、「社会的障壁の除去推進事業」として段差の解消や意思疎通支援用具の導入に係る費用に対して補助を行いました。  また、障害者の芸術文化活動の推進に関する取組として、障害のある人もない人も誰でもできるワークショップを開催しています。令和5年度は筆遊びワークショップとドライフラワーワークショップを開催しました。 ※1地域生活支援拠点…障害者の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据えた、居住支援のための機能をもつ場所や体制のこと。 ※2所沢市自立支援協議会…相談支援事業をはじめとする地域の障害福祉に関するシステムづくりに関し、中核的な役割を果たす定期的な協議の場。障害者総合支援法に設置が規定されており、就労、保健医療、サービス提供事業所、相談支援事業者等により構成されている。 10ページ (2)第5次所沢市障害者支援計画に対する評価  令和4年度までの第5次所沢市障害者支援計画の指標の実績値・目標値は次のとおりです。 ■第5次所沢市障害者支援計画 各指標の実績値・目標値  指標 現状値令和元年度時点 実績値令和4年度末 目標値令和5年度末 1.差別解消と権利擁護の推進  所沢市障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例に関する職員研修の受講者数(累計) 567人 1,229人 1,220人  障害者やその家族等に向けた成年後見制度に関する出前講座の受講者数 133人 197人 200人 2.社会参加の促進と協働の推進  所沢サン・アビリティーズ及び所沢市こどもと福祉の未来館の体育館等を利用した障害者数 7,352人 8,003人 8,500人  障害者週間記念事業来場者数 332人/日 416人/日 550人/日 3.福祉サービス等の充実  グループホームの整備数 219人分 362人分 301人分 4.支援体制の充実  指定特定相談支援事業所及び指定障害児相談支援事業所数 19か所 22か所 23か所  所沢市こども支援センター(発達支援)の利用者満足度 89.8% 95.9% 100% 5.保健医療の充実  乳幼児健康診査未受診率 5.8% 3.6% 4.3%  リハビリ相談(予約制)及び訪問リハビリ指導の相談者数 67人 51人 70人  所沢市精神障害者アウトリーチ支援事業の延べ登録者数 113人 160人 153人 6.育ちと学びの充実  保育園等の障害児保育への巡回指導の件数 1,509件 1,592件 1,650件  特別支援教育や障害者に対する理解促進のための取組を行った学校の割合 − 93.6% 100.0% 7.雇用・就労の促進  ところざわ就労支援センター登録者の就職者数 631人 760人 790人  障害者就労施設等からの調達実績額 8,572,349円 13,566,143円 9,000,000円 8.情報アクセシビリティの向上  ウェブアクセシビリティ向上のためのホームページ操作研修の受講者数(累計) 52人 151人 144人  所沢市手話通訳・要約筆記派遣事務所の利用件数 2,046件 2,423件 2,200件 9.安全・安心なまちづくり  駅ボランティア登録者数(延べ人数) 2,460人 2,621人 2,760人  災害時における福祉避難所施設利用に関する協定締結件数 18件 19件 21件 11ページ 1.「差別解消と権利擁護の推進」では、2つの指標のうち所沢市障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例に関する職員研修の受講者数が目標を達成、障害者やその家族等に向けた成年後見制度に関する出前講座の受講者数は未達成です。 2.「社会参加の促進と協働の推進」では、所沢サン・アビリティーズ及び所沢市こどもと福祉の未来館の体育館等を利用した障害者数、障害者週間記念事業来場者数の2つの指標ともに目標未達成です。 3.「福祉サービス等の充実」では、グループホームの整備数の目標を達成しています。 4.「支援体制の充実」では、指定特定相談支援事業所及び指定障害児相談支援事業所数、所沢市こども支援センター(発達支援)の利用者満足度の2つの指標ともに目標未達成です。 5.「保健医療の充実」では、3つの指標のうち乳幼児健康診査未受診率と所沢市精神障害者アウトリーチ支援事業の延べ登録者数が目標を達成、リハビリ相談(予約制)及び訪問リハビリ指導の相談者数は未達成です。 6.「育ちと学びの充実」では、保育園等の障害児保育への巡回指導の件数、特別支援教育や障害者に対する理解促進のための取組を行った学校の割合の2つの指標ともに目標未達成です。 7.「雇用・就労の促進」では、2つの指標のうち障害者就労施設等からの調達実績額が目標を達成、ところざわ就労支援センター登録者の就職者数は未達成です。 8.「情報アクセシビリティの向上」では、所沢市手話通訳・要約筆記派遣事務所の利用件数とウェブアクセシビリティ向上のためのホームページ操作研修の受講者数の2つの指標ともに目標を達成しています。 9.「安全・安心なまちづくり」では、駅ボランティア登録者数、災害時における福祉避難所施設利用に関する協定締結件数の2つの指標ともに目標未達成です。   第6次所沢市障害者支援計画においては、目標値を達成している分野についてはより一層の施策の推進を図り、未達成の分野については、その課題や原因等を整理し、施策の改善を図ります。 12ページ 第3節 障害者の現況 1.障害者数の状況 (1)障害者数(障害者手帳等所持者数)の推移  所沢市の障害者手帳保持者数は令和5年3月末現在では15,213人であり、所沢市の総人口の4.4%を占めています。障害種別では、身体障害者が8,445人、知的障害者が2,542人、精神障害者が4,226人となっています。  平成31年3月末から令和5年3月末までの推移では、身体障害者はほぼ横ばいですが、知的障害者は1.19倍、精神障害者は1.34倍とそれぞれ増加しています。  障害者手帳等所持者数の推移(平成31年3月末を1とした場合)  単位:人、()内は総人口に占める割合  区分 平成31年3月末(a) 令和2年3月末 令和3年3月末 令和4年3月末 令和5年3月末(b) 変化率(b)/(a)  1.市の総人口 343,912 344,193 344,014 343,752 343,867 1.00  2.身体障害者 8,528(2.5%) 8,548(2.5%) 8,619(2.5%) 8,611(2.5%) 8,445(2.5%) 0.99  3.知的障害者 2,140(0.6%) 2,231(0.6%) 2,322(0.7%) 2,440(0.7%) 2,542(0.7%) 1.19  4.精神障害者 3,162(0.9%) 3,418(1.0%) 3,580(1.0%) 3,884(1.1%) 4,226(1.2%) 1.34  5.障害者合計 13,830(4.0%) 14,197(4.1%) 14,521(4.2%) 14,935(4.3%) 15,213(4.4%) 1.10 13ページ (2)身体障害者の状況 @障害部位別の状況  令和5年3月末現在で身体障害者は8,445人おり、このうち視覚障害は745人、聴覚・平衡障害は681人、音声・言語・そしゃく機能障害は125人、肢体不自由は3,912人、内部障害が2,982人となっています。 障害部位別 等級別の人数  障害部位・等級 1級 2級 3級 4級 5級 6級 計  1.視覚 235 247 43 48 140 32 745  2.聴覚・平衡 34 203 92 136 5 211 681  2の1 聴覚 34 203 91 136 0 211 675  2の2 平衡 0 0 1 0 5 0 6  3.音声・言語・そしゃく機能 15 10 58 42 0 0 125  4.肢体不自由 786 770 795 1,026 339 196 3,912  4の1 上肢 492 477 240 150 75 85 1,519  4の2 下肢 151 149 463 870 216 109 1,958  4の3 体幹 120 137 90 1 45 0 393  4の4 脳原性 移動 6 0 0 1 1 1 9  4の5 脳原性 上肢 17 7 2 4 2 1 33  5.内部障害 1,871 36 308 767 0 0 2,982  5の1 呼吸器 28 1 51 21 0 0 101  5の2 ぼうこう・直腸 14 7 31 469 0 0 521  5の3 小腸 0 0 2 5 0 0 7  5の4 腎臓 776 1 3 1 0 0 781  5の5 心臓 1,016 4 199 260 0 0 1,479  5の6 免疫 16 21 22 11 0 0 70  5の7 肝臓 21 2 0 0 0 0 23  6.計 2,941 1,266 1,296 2,019 484 439 8,445 ※令和5年3月末現在 ※身体障害者手帳所持者のうち、重複障害(上肢2級・下肢2級等)である場合は、主障害に人数を計上しています。 14ページ A等級別の状況  身体障害者について等級別でみると、令和5年3月末現在で1級が最も多く2,941人、次いで4級が2,019人となっています。ここ5年間の推移では、1級・2級・3級は横ばいからやや減少し、4級・5級・6級はやや増加傾向にあります。 身体障害者手帳所持者数(等級別)の推移(平成31年3月末を1とした場合)  単位:人  等級別 平成31年3月末(a) 令和2年3月末 令和3年3月末 令和4年3月末 令和5年3月末(b) 変化率(b)/(a)  1.1級 3,081 3,097 3,116 3,016 2,941 0.95  2.2級 1,278 1,263 1,272 1,289 1,266 0.99  3.3級 1,313 1,276 1,276 1,321 1,296 0.99  4.4級 1,957 1,999 2,008 2,037 2,019 1.03  5.5級 480 484 502 495 484 1.01  6.6級 419 429 445 453 439 1.05  7.身体障害者計 8,528 8,548 8,619 8,611 8,445 0.99 15ページ B年齢別の状況  身体障害者について年齢別でみると、令和5年3月末現在では65歳以上が最も多く5,856人、18〜64歳が2,423人、18歳未満が166人となっています。ここ5年間の推移では、18歳未満が増加しており、18〜64歳は横ばい、65歳以上はやや減少傾向にあります。 身体障害者手帳所持者数(年齢別)の推移(平成31年3月末を1とした場合)  単位:人  年齢別 平成31年3月末(a) 令和2年3月末 令和3年3月末 令和4年3月末 令和5年3月末(b) 変化率(b)/(a)  1.18歳未満 155 149 153 164 166 1.07  2.18〜64歳 2,437 2,426 2,439 2,429 2,423 0.99  3.65歳以上 5,936 5,973 6,027 6,018 5,856 0.99  4.身体障害者計 8,528 8,548 8,619 8,611 8,445 0.99 16ページ (3)知的障害者の状況 @等級別の状況  知的障害者について等級別でみると、令和5年3月末現在ではCが最も多く872人、次いでBが656人、Aが522人、まるAが492人と、障害の程度の軽い人ほど多くなっています。ここ5年間の推移では、どの等級も増加していますが、特にCの伸びが顕著です。 療育手帳所持者数(等級別)の推移(平成31年3月末を1とした場合)  単位:人  等級別 平成31年3月末(a) 令和2年3月末 令和3年3月末 令和4年3月末 令和5年3月末(b) 変化率(b)/(a)  1.まるA 443 453 456 478 492 1.11  2.A 462 473 483 506 522 1.13  3.B 562 595 634 644 656 1.17  4.C 673 710 749 812 872 1.30  5.知的障害者計 2,140 2,231 2,322 2,440 2,542 1.19 17ページ A年齢別の状況  知的障害者について年齢別でみると、令和5年3月末現在では18〜64歳が最も多く1,613人、次いで18歳未満が847人、65歳以上が82人となっています。ここ5年間の推移では、18歳未満と18〜64歳の増加が著しく、65歳以上もやや増加傾向にあります。 療育手帳所持者数(年齢別)の推移(平成31年3月末を1とした場合)  単位:人  年齢別 平成31年3月末(a) 令和2年3月末 令和3年3月末 令和4年3月末 令和5年3月末(b) 変化率(b)/(a)  1.18歳未満 676 699 729 791 847 1.25  2.18〜64歳 1,387 1,454 1,511 1,569 1,613 1.16  3.65歳以上 77 78 82 80 82 1.06  4.知的障害者計 2,140 2,231 2,322 2,440 2,542 1.19 18ページ (4)精神障害者の状況 @等級別の状況  精神障害者について等級別でみると、令和5年3月末現在では2級が最も多く2,665人、次いで3級が1,248人、1級が313人となっています。ここ5年間の推移では、どの等級も増加していますが、特に3級や2級の増加が著しくなっています。 精神障害者保健福祉手帳所持者数(等級別)の推移(平成31年3月末を1とした場合)  単位:人  等級別 平成31年3月末(a) 令和2年3月末 令和3年3月末 令和4年3月末 令和5年3月末(b) 変化率(b)/(a)  1.1級 256 272 269 276 313 1.22  2.2級 2,053 2,171 2,275 2,484 2,665 1.30  3.3級 853 975 1,036 1,124 1,248 1.46  4.精神障害者計 3,162 3,418 3,580 3,884 4,226 1.34 19ページ A年齢別の状況  精神障害者について年齢別でみると、令和5年3月末現在では18〜64歳が最も多く3,638人、次いで65歳以上が473人、18歳未満が115人となっています。ここ5年間の推移では、18歳未満の増加が著しく、平成31年3月末から令和5年3月末にかけて2倍近く増えています。 精神障害者保健福祉手帳所持者数(年齢別)の推移(平成31年3月末を1とした場合)  単位:人  年齢別 平成31年3月末(a) 令和2年3月末 令和3年3月末 令和4年3月末 令和5年3月末(b) 変化率(b)/(a)  1.18歳未満 62 74 83 101 115 1.85  2.18〜64歳 2,692 2,924 3,076 3,342 3,638 1.35  3.65歳以上 408 420 421 441 473 1.16  4.精神障害者計 3,162 3,418 3,580 3,884 4,226 1.34 20ページ (5)難病患者の状況  所沢市内の指定難病※1、特定疾患※2、指定疾患※3、小児慢性特定疾病※4の医療受給者証所持者数は、令和5年3月末現在で3,180人となっており、平成31年3月末の2,836人から344人の増加となっています。年度によって医療給付者の件数にばらつきがあるものの、緩やかに増加傾向にあるものと考えられます。 難病患者数の推移  単位:人  区分 平成31年3月末(a) 令和2年3月末 令和3年3月末 令和4年3月末 令和5年3月末(b) 変化率(b)/(a)  1.指定難病 2,487 2,571 2,804 2,725 2,812 1.13  2.特定疾患 11 12 14 11 11 1.00  3.指定疾患 9 9 9 10 10 1.11  4.小児慢性特定疾病 329 324 328 347 347 1.05  5.難病患者計 2,836 2,916 3,155 3,093 3,180 1.12 ※1指定難病…診断基準が一応確立し、かつ難治度、重症度が高く患者数が比較的少ないため、公費負担の方法をとらないと原因の究明、治療方法の開発などに困難をきたすおそれのある疾病。 ※2特定疾患…スモン病等、国が指定した4疾患。(本統計値では埼玉県が単独で指定する4疾患を含む。) ※3指定疾患…先天性血液凝固因子欠乏症等、国が指定した11疾患。 ※4小児慢性特定疾病…治療が長期間にわたり、医療費の負担も高額となり、これを放置することは児童の健全な育成を阻害することとなる疾患で研究事業の対象とされているもの。 21ページ 2.就労等の状況 (1)特別支援学校(高等部)卒業後の進路状況  所沢おおぞら特別支援学校、入間わかくさ高等特別支援学校、和光特別支援学校、埼玉県立日高特別支援学校の令和4年度卒業生のうち所沢市民は39人となっており、卒業後には約3割が一般企業へ就職しているほか、就労継続支援B型や生活介護等の通所施設を利用する割合が高くなっています。 特別支援学校卒業後の進路状況  単位:人  区分 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和4年度の割合  1.一般(企業)就労 14 15 11 11 12 30.8%  2.就職訓練校 1 2 0 0 0 0.0%  3.就労移行支援 9 1 3 0 1 2.6%  4.就労継続支援A型 1 1 2 1 0 0.0%  5.就労継続支援B型 9 14 8 7 10 25.6%  6.生活介護 10 10 11 13 11 28.2%  7.その他 6 5 3 3 5 12.8%  8.合計 50 48 38 35 39 100% 22ページ (2)ところざわ就労支援センター※1の状況  ところざわ就労支援センターでは、就労を希望する障害者を対象に、一般就労に向けた支援(就労に関する相談、職場定着のための支援等)を行っています。令和4年度時点で就職者の合計は760人、年度末の登録者数に対する就職率は62%となっています。 登録・就労の人数  (総合) 単位:人、%、件  区分 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度  登録・就労  1.年度末時点登録者(a) 951 1,020 1,088 1,163 1,227   2.年度中就職者(b) 121 167 110 106 82  3.就職者合計(c) 567 631 671 714 760  4.就職率(c)/(a) 60% 62% 62% 61% 62%  支援・実績  1.就職に向けた相談・支援 3,375 3,384 2,812 2,357 2,388  2.就職定着に向けた相談・支援 2,800 5,016 6,932 7,534 8,764  3.その他、日常生活・社会生活等に関する相談・支援 612 639 150 377 521 (登録・就労の内訳) 単位:人、%  区分 障害種別 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度  年度末時点登録者(a)  1.身体 95 104 112 122 127  2.知的 436 448 472 488 501  3.精神 328 349 376 414 445  4.その他 92 119 128 139 154  年度中就職者(b)  1.身体 15 13 9 14 8  2.知的 38 50 36 26 26  3.精神 53 74 51 50 35  4.その他 15 30 14 16 13  就職者合計(c)  1.身体 48 55 54 64 67  2.知的 281 300 320 331 344  3.精神 177 194 214 228 251  4.その他 61 82 83 91 98  就職率(c)/(a)  1.身体 50.5% 52.9% 48.2% 52.5% 52.8%  2.知的 64.4% 67.0% 67.8% 67.8% 68.7%  3.精神 54.0% 55.6% 56.9% 55.1% 56.4%  4.その他 66.3% 68.9% 64.8% 65.5% 63.6% ※1ところざわ就労支援センター…働きたい障害者の方への就労支援や障害者を雇用したい企業への雇用支援を行う施設。主に企業で働くために必要な相談や就職後の雇用継続のための相談を行っている。 23ページ (3)ハローワーク所沢※1の状況  ハローワーク所沢では、本市のほか、狭山市、入間市、三芳町を管轄として求人・求職申込者に対し、相談や紹介等の業務を行っています。令和4年度における障害者の就職件数は、管轄地域全体(所沢市以外の市町村を含む)で384件となっています。 (総合) 単位:人、件  区分 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度  1.新規求職申込件数 1,126 1,059 964 1,064 1,138  2.有効求職者数 1,179 1,025 1,152 1,272 1,246  3.紹介件数 2,588 2,074 2,243 2,438 2,303  4.就職件数 446 451 331 455 384 (新規求職申込件数内訳) 単位:件  区分 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度  1.身体 281 275 209 246 245  2.知的 183 164 136 148 139  3.精神 518 476 465 538 685  4.その他 144 144 154 132 69 (有効求職者数内訳) 単位:人  区分 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度  1.身体 317 311 309 370 326  2.知的 231 112 245 259 205  3.精神 440 404 401 462 635  4.その他 191 198 197 181 80 ※その他は、障害者手帳を所持していない難病、発達障害、精神障害等の障害者です。 ※1ハローワーク所沢…正式名称は所沢公共職業安定所。仕事を探している方や求人事業主の方に対して、さまざまなサービスを無償で提供する、国(厚生労働省)が運営する総合的雇用サービス機関。障害のある求職者の方のための職業相談窓口も設置している。 24ページ 3.アンケートの概要 (1)調査の目的  第6次所沢市障害者支援計画の策定に当たり、障害者、障害児、在宅医療的ケア児、市民、事業所に対して、計画改定のための基礎資料を得ることを目的としたアンケートを実施しました。 〔※回答は、あて名のご本人について記入いただきました。障害児やご本人が記入できない場合は、ご家族や支援者がご本人と相談し、またはご本人の立場に立って回答いただいています。〕 (2)調査内容と回収状況 @調査内容  区分 18歳以上の障害者 18歳未満の障害児 在宅医療的ケア児 市民 事業所 調査対象 障害者手帳、指定難病医療受給者証等の所持者、自立支援医療受給者のうち、年齢・障害種別ごとに抽出した障害者、障害児、在宅で医療的ケアを受けている障害児 無作為抽出した18歳以上の所沢市民 障害福祉サービス等を提供している事業所 調査目的 生活実態、福祉サービス利用状況、現在抱えている課題、今後の希望、所沢市の施策に対する評価等を把握すること 必要な医療的ケア、現在抱えている課題等を把握すること 障害者との交流の状況、障害理解度などを把握すること サービスの提供状況や運営課題などを把握すること 調査方法 郵送配付・回収 調査期間 令和4年10月 A回収状況  区分 18歳以上の障害者 18歳未満の障害児 在宅医療的 ケア児 市民 事業所  1.調査対象者数(a) 2,200人 670人 30人 400人 200人  2.有効回答者数(b) 1,215人 356人 21人 195人 134人  3.有効回答率(b)/(a) 55.2% 53.1% 70.0% 48.8% 67.0% 25ページ (3)主なアンケート項目 @障害者・障害児を対象としたアンケート ● 差別解消・権利擁護について ● 社会参加について ● 福祉サービスの利用について ● 保健・医療について ● 教育・保育について ● 雇用・就労について ● 情報の利用のしやすさについて ● 安全・安心なまちづくりについて ● 障害者支援施策について 等 A在宅医療的ケア児を対象としたアンケート ● 本人の病状、病歴、障害の程度について ● 本人の生活状況について ● 家族の生活状況について ● 災害時の対応について 等 B市民を対象としたアンケート ● 障害者との交流や援助の経験について ● 条例の認知について ● 障害者に対する差別や偏見について ● 障害に関する法律や制度の認知度について ● 災害時の援助について ● 障害者に対する市民の理解度について 等 C事業所を対象としたアンケート ● サービス提供の状況について ● 事業所運営で苦慮している点について ● 所沢市の障害者支援への評価について ● サービスの質の向上への取組について ● 介護人材の確保について ● 今後のサービス提供の見込について ● 利用者の親亡き後の支援について ● 所沢市に不足している社会資源について 等 26ページ (4)調査の結果判明した実態と課題のまとめ  調査結果から明らかになった実態と課題について、施策分野別にとりまとめた結果は以下のとおりです。 施策分野別 調査で明らかになった実態と課題 差別解消・権利擁護 ●障害者の権利を擁護するための法律、制度等についての障害者自身の認知度が低い。 ●障害児、障害者とも、一定数の方が幅広い場面で差別を受けたり嫌な思いをした経験を持ち、その割合は障害の種別や年齢により異なる傾向が見られる。 ●半数を超える事業所は、所沢市障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例の内容を知っていると回答している。 ●事業所が利用者から条例に基づく「差別」の解消を求められた際に可能な対応は職員への研修の実施や職員体制の整備などソフト面が中心で、ハード面での対応は30%弱である。 社会参加 ●障害理解について、理解されていないと感じる障害者が多数存在している。特に大切だと思うこととして、障害や障害のある人に対する理解を深めることであると考えている。 ●市民にとって、障害のある人は身近な存在となっているが、半数の方は手助けをした経験がなく、うち20%の方は何をすればよいかわからないと回答している。 福祉サービス ●障害児では、就労関係や相談支援などについて、今後の利用希望が多くなっている。障害者の今後の利用希望は、障害等の種別により異なっている。 ●医療的ケア児は「訪問看護」と「訪問リハビリテーション」の必要性が多く、実際に利用もされている。 ●30%を越える医療的ケア児が「訪問診療」、「日中一時支援」について、利用できる事業所が少ないと回答している。 ●医療的ケア児であることを理由に「短期入所」を断られる方が20%弱いる。 ●福祉サービスの未利用の理由について「利用する必要がない」が、全体の半数程度いるが、「福祉サービスを知らない」「利用の仕方がわからない」という方がそれぞれ10%程度いる。 ●事業者について、医療的ケアが必要な方や重度の行動障害のある方へのサービス提供ができない理由として、職員体制が不十分であるとの回答が70%を超えている。 ●30%弱の事業所が、利用者からサービスの質の向上を求められている。 27ページ 施策分野別 調査で明らかになった実態と課題 自立生活 ●ほとんどの障害児、障害者は、現在自宅で暮らしているが、将来はグループホーム等で暮らしたいと考える方が10%前後とやや多くなっている。 ●親亡き後を心配する障害児、障害者が多数存在している。親亡き後が心配される利用者がいる事業所も70%を越えており、家族への意識付けと事前準備が重要視されている。 ●事業所が特に重要と考える市の地域生活支援拠点の機能は「緊急時の受入れ・対応」であり、市に不足していると思う地域資源でも「緊急対応が可能なショートステイ」が最も多い。 保健・医療 ●専門的治療の受診に困難を抱えた障害児が多く存在している。 ●交通が不便、移動が大変な障害児、障害者が多く存在する。 ●医療機関への受診に時間と人手がかかることに困っている医療的ケア児が多数存在している。 教育・保育 ●卒業後の進路に悩む障害児が多数存在している。 ●専門知識のある先生が少ないとの指摘がある。 ●40%強の医療的ケア児が、特別支援学校に通っている。 ●医療的ケア児の登下校の付き添い、授業中の付き添いは主に家族・保護者が行い、半数の保護者は、1日の付き添い時間が4時間を超えている。 雇用・就労 ●現在就労していない方のうち就労意欲のある方が、発達障害者で60%台半ば、精神障害者で40%超、知的障害者(療育手帳所持者)で30%台半ばなど多数いる。 ●障害児、障害者の若い世代に、企業等で働きたいという方が多い。 ●障害児、障害者は、就労に際し、仕事の内容が障害の状態に合っていることや障害に対する周囲の理解、困った時のサポートを求める意見が多い。 ●50%を越える市民が、障害のある人とない人が同じ職場で働くために必要なこととして、職場の体制整備に関わることを挙げている。 情報の利用 ●障害児ではわかりやすい表現で作成されたものやフリガナのふられた情報を求める意見が40%程度と最も多く、次いで情報のやりとりのために必要なことは「特にない」が30%台半ばとなっている。一方、障害者では「特にない」が40%程度と最も多く、「メールやチャット※1が利用できる」が続いており、障害種別によって必要なことは異なるため、回答数が少ない項目についても注視する必要がある。 ※1チャット…コンピュータネットワーク上で、リアルタイムに複数の人が文字を入力して会話を交わすこと。 28ページ 施策分野別 調査で明らかになった実態と課題 安全・安心なまちづくり ●障害児、障害者の外出時の困りごとには、道路の狭さなどのハード面と移動費用の経済面がある。 ●障害児、障害者では、自力で避難できないことや避難所生活への懸念がもたれている。 ●医療的ケア児について、災害時に備えて予備動力を保有している方は60%弱である。 ●50%から60%の市民が、災害時に障害のある方に対し「避難の手助け」や「避難所での手助け」、「災害や避難についての情報伝達」ができると思うと回答している。 ●80%近くの事業所が災害に備えて「防災訓練」を実施し、50%の事業所が「備蓄」と「職員との連絡体制確保」を行っている。 ●災害発生時のBCP※1を作成している事業所は半数に届いていない。 介護者 ●医療的ケア児の主な介護者は母であり、年齢は40歳代が半数を占めている。また、5時間以上の睡眠がとれている方が半数を超えているが、まとまった睡眠がとれている方は20%台に留まっている。 ●心身の疲れを訴える介護者が多数存在している。 障害者支援施策 ●満足度が高い施策として、「健康づくりや病気の予防の促進」、「虐待の防止や障害者の権利を守るための支援」、「福祉サービスの充実」が共通してあげられている。また、満足度が低く、必要性の高い施策として、「障害者の雇用・就労の促進」、「わかりやすい情報の提供」が共通してあげられている。 ■その他、調査対象者による特性や課題 医療的ケア児 ●低年齢児が多く、小学校3年生までで80%弱を占めている。 ●必要な医療的ケアでは、「たんの吸引」と「経管栄養」が80%を越えている。 ●80%台半ばの方は身体障害者手帳を持ち、その90%は1級、療育手帳を持つ方は70%で、その90%はまるAである。 事業所 ●運営主体では株式会社等が40%を超えて最も多くなっている。 ●40%の事業所が、専門的職員の確保や職員の定着に苦労している。 ●ほとんどの事業所が職員の資質向上のために内部研修を行っている。 ※1BCP…正式名称は事業継続計画。企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態を想定して、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと。